天体写真にM51などを追加しました

この冬に遠征して撮った写真を更新しました。

子持ちの渦巻銀河M51→こちら

冬の大三角形→こちら

M31アンドロメダ銀河→こちら

東京ミネラルショーに行きました

年に2回、新宿ではミネラルフェア、12月には池袋でミネラルショーがあります。ミネラル=鉱物すなわち天然石や化石の展示販売イベントです。覗いてみるだけでも楽しいので2回に一回くらいは出かけていると思います。

今回は石膏で化石のレプリカづくり実験のための化石標本、ポピュラーなアンモナイトと三葉虫の小さめの安いのを大量(人数分)にゲットする、という目的をもって行ってきました。肋(ろく)の発達している小さめのペリスフィンクテスなどが良いのですが、以前から、1箱いくらで売っているのをあてに探すと、入口近くですぐ見つかりました。もちろん、値段が安い方がいいので、広い会場をくまなく回ってみました(疲れます)が、箱で売っているのはその1ブースだけでした。ただ、箱の中のアンモナイトの大きさがまちまちで大きいものは直径10センチくらいあり、うれしいのですが、実験には石膏の量から言っても、実験の公平性からも不向きです。店のオーナーは外人(フランスらしい)で、大きさを揃えてもらえないか片言英語で交渉してみました。

しかし、在庫はここにあるものだけで、あくまで箱単位(1㎏)の商品なので、いま揃えることはできないとのことでした。来年6月の新宿の時までに、そろえることはできるので、メールしてくれと店のカードをもらいました。来年4月ころに英語でメールするしかないようです。


鉱物マニアではありませんが、このような、鉱物の並びを見て、きれいと思わない人はないでしょう。

 

 

 

 

アノマロカリスなどカンブリア紀の節足動物、澄江とバージェス頁岩化石の特別展示もありました。

 

化石ではありませんが、最近はやりの透明骨格標本も。これもきれいですね。

地図展2017「南多摩50年の 軌跡」へ行きました

財団法人日本地図センターが中心となって開かれている地図展(2017)に行ってきました。今年は、「南多摩50年の 軌跡」というテーマで、私の第2の故郷である東京多摩市で開かれており、ぜひ見たいと思って出かけました。また、講演会では鉄道や地図で有名な今尾恵介さん(地図・地名エッセイスト)による「地図でたどる多摩の鉄道発達史」と地理学の大御所的存在、 西川治先生(東京大学名誉教授)の「世界地図の改良史における日本列島 -コロンブス(1446-1506)から伊能忠敬(1745-1818)まで-」も拝聴してきました。

地図は、土地のポートレートだとか、地理学は哲学だといった懐かしい言辞を久しぶりに聞けて、なおかつ中学時代から移り住んだ懐かしい時代の多摩ニュータウンを見つめなおす良い機会になりました。

昭和20年ころの南多摩地域

戦後すぐの時代、多摩丘陵は森林に被われているかというと、そうでもない(画面の黒いところが森林と思われる)。禿山だったようだ。森林は薪炭林としてほとんど伐採されていた。

永山・諏訪がニュータウンとして始まった昭和49年ころ(多摩センターまで小田急と京王が伸びた)

地図もさることながら、空中写真をつなげて大判になっている壁一面の地域の変遷に目を奪われました。帰ってから、地理院地図の空中写真を再びよく見てみました。


ブラタモリによく出てくるニシムラの精密地形模型も出店していました。同じ多摩地区の日野市に住んでおられる今尾さんの東京近郊の鉄道の歴史は何冊も本で読んで知っているのですが、やはり直接聞くとネタなどが分かってとても参考になりました。駅名や地名の由来とその変遷などを知るだけで哀愁漂う一つの物語を聞いたような感動があります。

西川先生は私が大学時代の地理学の教科書の代名詞のような方ですが、多摩市在住だそうで、現在92歳とのこと。テーマの内容というより、地理学の見方と人間にとってのその意義のような前振りが長かったですが、お話を伺えただけでありがたいと思いました。私の恩師である野上道男先生(東京都立大学名誉教授)も会場にいらしていました。

今尾氏のスライド(京王線が多摩御陵に伸びていたころの沿線案内図)
西川先生が持ち込まれた世界地図のタペストリー

重力波の本

先日、IPMUの講演会で重力波のお話をされた川村静児さんの書かれた「重力波とは何か」幻冬舎新書を早速購入してみました。また、9月に慶應義塾高校の講演会で話された新貝寿明さんの「ブラックホール・膨張宇宙・重力波」光文社新書もおすすめの本に追加したいと思います。

重力波の検出とブラックホールの合体を同時に明らかにしたアメリカのLIGOの観測は今年のノーベル物理学賞に輝きました。初検出は一昨年で発表は去年だったわけで、アインシュタインの100年の宿題に答えたとか、新しい天文学のはじまりなどと話題になりました。昨年の発表では、地球から13億光年先にあった地球の36倍と29倍の質量をもつブラックホール同士が回転しながら合体するときに放たれた重力波を観測し、今年8月には地球から1.3億後年の距離にある銀河付近の中性子星同士の合体が観測されたのでした。

重力波が今まで観測できなかったのは、それがあまりに小さな空間のゆがみ(原子の大きさくらい)なためですが、長さが4㎞もあるレーザー干渉計とそのデータ解析(雑振動の除去)技術の進歩によってようやく観測できたわけです。この発見は、ブラックホールが直接観測できただけでなく、宇宙の始まりにさかのぼる謎の解明につながる新しい宇宙望遠鏡の登場をも意味しています。川村さんは、これらの観測装置の開発に携わった経験からLIGOの快挙をものすごく喜んでいらっしゃいました。今後、日本の岐阜県神岡に建設されている重力波望遠鏡KAGRAの本格稼働(2年後)に期待が持たれるところです。

今年8月の中性子星の合体では、今まで謎とされていたガンマー線バーストを衛星で観測し、光学望遠鏡(日本のスバル)でも合体に伴う超新星爆発を同時に観測して、これも謎とされていた重元素の生成過程の解明に近づくなど大きな発見が相次ぎました。そして、今後は宇宙誕生にインフレーションがあったことの実証や、余剰次元の実在を証明するかに期待がかかっています。また、ダークマターやダークエネルギーの正体が見つかるかもしれません。新貝さんの本では、今回のノーベル賞を受賞した一人キップ・ソーンが監修した映画「インターステラー」も紹介されています。こういった発見がSF映画にも反映されているのは興味深く、ワームホールなど時空の解釈についても研究が進むような気がします。

私自身、現代物理学や宇宙論の専門書を読み解く能力はありませんが、こういった新書を何冊も読むことでなんとなく徐々に理解出来るようにりました。川村さんと同期だという松原隆彦さんの本「目に見える世界は幻想か」光文社新書などもおすすめです。

佐藤文隆先生の量子論

まだよく理解できているとは言えませんが、この本は今後名著といわれそうな気がしています。現代物理学の基礎概念であると同時に難解な「量子力学」。佐藤文隆という、京都大学の相対論・宇宙論の大御所的存在が量子力学を一般向けに解説している本。実は、一般向けの(新書で)宇宙論や量子力学の本をいくつも読んでいますが、量子力学だけはその結論が常識に合わないだけに数学的(数式をつかった)理解ができないかぎり納得のいく説明に出会ったことがありません(数式の理解には歯が立ちません)。そこで、もし量子力学を鵜呑みにするなら、世界はパラレルワールドであるとか、テレポーテーション(瞬間移動)が可能であるとか、存在は確率的である、というような荒唐無稽なほら話のようなことを信じることになるのです。

もちろんミクロの世界でのことと、断りがありますが、専門の物理学者すらなぜそうなのかを納得していない、とこの本にも書かれています。では、そのような現象は本当なのか。この本は、近年になって行われた量子力学の不思議さを実証した実験に多くの説明が割かれているのが特徴です。詳しい内容は書ききれませんが、簡単に言うと、「私たちが見る前から決まっていたかのようなことが、見ることによって決定されるような振る舞いが実在する」。ということかと思います。とくに、このような考えについてホイーラーという物理学者の見解を引き合いにしています。ホイーラーはブラックホールの名付け親でもある物理学者です。

ホイーラーの驚くべき結論は、It from bit(すべては情報)という、これまた理解に苦しむものですが、いずれにしても、観測する私たちの参加によって現実がたちあらわれてくる、という観測問題の理解が大事だということだと思います。言い換えると人間というものがこの宇宙でかなり特殊な存在(我々の認識や常識は特異)であるということだと、あまり自信はありませんが思います。

こういったことに、興味がある方にはお勧めの本です。

東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構・宇宙線研究所合同一般講演会「なみとつぶのサーカスー宇宙の超精密実験の現在」を聞いてきました。

11月3日、東京大学本郷キャンパスの伊藤国際ホールで、今回で17回目を迎える東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)と宇宙線研究所(ICRR)との合同一般講演会「なみとつぶのサーカスー宇宙の超精密実験の現在」を聞いてきました。今まで、何度がIPUMの一般向け講演会には参加していますが、最近申し込んでも抽選で外れることも多く、久々に当選のメールをもらっていってきました。

演題は宇宙線研究所の川村静児さんの「重力波」アインシュタインの奏でる宇宙からのメロディーとkavliIPUMのマーク・ハーツ特任助教による「ニュートリノ」T2K実験で探るその性質と将来展望というものでした。重力波は10月のノーベル物理学賞に選ばれたばかりで、川村さんはその観測(レーザー干渉計)の第一人者ということだと知り(新聞などで今回のノーベル賞に貢献した日本人として紹介されていました)、詳しい内容を聞けて有意義でした。とくに、重力波の周期(周波数)は、どういうわけか音の周波数にちかいようで、重力波の波形をそのまま音にして聞くことで身近に感じられることが分かりました。ブラックホールの合体と中性子星の合体ではずいぶん違う音色になるなど、また、いかに雑音の中に埋もれているものなのかも、音で会場にいる人たちに実感させてくださいました。ニュートリノに関しては、東海村のJパークで生成させたニュートリノを岐阜県のスーパーカミオカンデに打ち込むというT2K実験について、成果を解説してくれました。CP対称性の破れがいくつも見つかっているようです。やはり、現場で最先端の実験研究に携わっている人から話を聞くのは、難解なことでも、少しは身近にすることにつながると思いました。

川村先生の講演スライドがネットで見られます。→こちら

地学教材に「ジェット気流の断面図」を描く実習を加えました。

冬の日本上空には世界でも有数の偏西風の強い流れ,ジェット気流が存在します。この強風と上空の気温の関係を等値線を描いて明らかにする気象分野の実習用ファイルを地学教材のページに追加しました。→こちら

天体写真「M31アンドロメダ銀河」などを更新しました。

10月25日,台風21号の通過後,快晴になったので,八ヶ岳に遠征して天体写真を撮影しました。新月は先週の土曜日でしたが,この日が月没が21頃で,撮影にはぎりぎりの時期でした。それにしても5月以来の新月期の晴天で,ようやく晴れたという感じです。翌朝帰りに富士山が今年初の雪化粧ということで,山中湖の忍野村に寄り道して富士山の写真も撮影しました。→天体写真ギャラリー

御殿場で振り返ると,雪は北東斜面に多く降っていたことが分かりました。

再び回転円筒水槽実験を行いました。

大気大循環の単元で、回転円筒水槽実験を授業で演示しました。4波と5波の動画をご覧いただけます。


GSJのジオサロンin東京に参加しました。

昨日(10月13日)の夜、東京日本橋の会場で行われた産総研地質調査所(GSJ)企画によるジオサロンin東京(サイエンスカフェ)に参加しました。内容は、すでに何度も紹介している高橋雅紀さんによる日本海溝移動説のお話です。

サイエンスカフェとは、科学の専門家と一般の人々が、カフェなどの比較的小規模な場所でコーヒーを飲みながら、気軽に語り合うという試みで、一般市民と科学者、研究者を繁ぎ、科学の社会的な理解を深める新しいコミュニケーションとして注目されている活動(日本学術会議のページから抜き書き)です。一般向けの講演会やシンポジウムよりざっくばらんですがより身近に話を聞ける機会ですし、素朴な質問にも答えてもらえる場所といえます。JST(日本科学技術研究機構)のページで開催予定などを探すこともできます。

私自身の経験ではヒッグス粒子が発見されたときにKEK(素粒子研究機構)の方や、去年重力波が発見されたときに宇宙論の研究者のサイエンスカフェに出たことがあります。しかし、地質学者がサイエンスカフェをやるのはほとんど珍しいと思います。地学関係では、時たま地震や火山の噴火予知に関するものがあるかもしれませんが、多いのは数学や物理学(宇宙論)といった難解な話か、自然探検(ネイチャー)関係の憧れ的な興味をもつ人向けだと思います。

今回のお話は、7月、8月テレビで放送となったNHKスペシャル「ジオジャパン第2集」とブラタモリ「秩父・長瀞」にまつわる内容でした。ちょうど学校でもこれらを教材にして「日本列島の生い立ち」の単元に生かせたと思っていた(反省点もあります)ところでした。新しいネタも聞けるかと思っていましたが、私のような準専門家にとってはすでに伺っていることがほとんどでした。もちろん、相変わらず巧みに作られているプレート運動に関するアニメーション動画やテロップ付きの見事なスライドによる解説は分かりやすく、だれもまねできないレベルでしたし、テレビ取材の裏話や、アナログ模型での研究の苦労について興味深い話でみなさんを満足させてくださいました。

サイエンスカフェの様子     写真提供:高橋雅紀氏

特に、おっしゃっていたことで印象的なのは、地質学がいかに複雑な自然の姿を相手にしているか、とそのために100人地質学者がいれば100通りの解釈がある、というたとえですが、科学ではないというそしりを受ける面もふくめて、それが地質学の面白さだということ。また、今やコンピューターでプレート運動はシミュレーションできるのだが、実はバーチャルな再現はまゆつばで、アナログ模型でなければ発見できない(これがサイエンスである)ということを強調されていました。例のアナログ模型(→こちら)を全員が実際にその場でつくるコーナーもありました。

それから、地質研究を通じてわかるのは、人の認識というものが、それぞれ異なっているということ。誰もがもっとも関心のあるものに目を向け解釈し記憶する。現実(世界観)というのはみなそれぞれ違い、研究にもそれが反映される。という話がありました。これは、養老孟司センセイもよく言っていることで、だんだん哲学になるのだろうと推察しました。

高橋さんには10年くらい前からお世話になっていますが、最初にお話を伺って以来、とにかく地質現象(露頭観察)をプレート運動に結び付けて考えるロマンのとりこにさせていただきました。このロマンが今後も世の中に広まっていくように微力ながら応援したいと思います。