11月19日のほぼ皆既月食の写真の視差から,月までの距離を計算してみました。

月の写真でまわりの星が写るのは,細い三日月か,皆既月食が適しています。月食の写真を離れた2地点から撮影して得た視差から,月までの距離を求めてみようという,プロジェクトが今年5月の皆既月食のまえに,天文教育普及研究会のMLでの呼びかけではじまりました。及ばずながら参加させてもらうことになり,計算方法などを考えてプログラムまで組んだのですが,5月26日は全国的に天候に恵まれませんでした。今回は,西日本はよく晴れ,関東地方は雲の間からでしたが撮影できました。徐々に写真が集まっているようですが,私が自宅からの撮影したものと,早々と提供があった,国立天文台のすばる望遠鏡観測者の方がハワイで撮影された写真をつかって,視差を測定し距離を計算してみました。

上がハワイ,下が神奈川県川崎市からの月

2枚の写真を大きさをそろえて星が重なるように比較明合成するには,Adobeのフォトショップでオーバーレイという機能(レイヤーにする前に大きさと位置を自由に合わせられる)が便利でした。この写真をプリントアウトして月の視直径から視差を出すと,38.6分(2316秒)になり,プログラムで計算してみると,39万2655.77 kmとなりました。実際のこの日の地表から月までの距離は,39万9800kmで,ほぼほぼ良い値が出たと思います。5月に書いた計算方法とプログラムの記事も丁寧に直してありますので,参考にして頂けたらと思います,→こちらから。ちなみに景色も入れた写真も載せておきます。

11月19日のほぼ皆既月食(雲に隠れていなかった時だけを比較明合成)