「海岸の砂つぶから地球を読む(JpGU更新講習会)」に参加しました。

現在,教員を続けるには10年ごとに免許を更新する教員研修制度が義務付けられています(実は2022年度中に廃止されることがほぼ決定しています)。その制度の始まりからすぐの,今から10年前に更新研修を受けたのですが,再び来年度末までに2度目の更新が迫ってきました。5回の講習(時間にしてほぼ5日間の)研修は,はっきり言って負担が大きいのですが,今回は専門の地学分野に特化した興味深い研修が日本地球惑星科学連合(JpGu)の教育検討委員会によって開かれることを知り,3つを受講することにしました。夏休み中の東京世田谷の等々力渓谷で地形や地質に関する内容(「等々力渓谷の地層と火山灰鉱物の観察から武蔵野台地の成り立ちを学ぶ」)に続き,9月19日に行われた表記の巡検に参加しました。前回に続き東京都市大学理工学部自然科学科・准教授,萩谷宏先生による講座で,午前中に江ノ島から鎌倉の由比ヶ浜までの海岸を歩き,砂浜の砂の生い立ちや特徴について説明を受けながら砂を採取し,午後には世田谷区にもどり顕微鏡観察実習も行うという充実したもの(ハードスケジュール)ですが,台風14号通過後の台風一過で秋晴れの日に海岸を歩くという気持ちの良い,とても印象に残る時間を過ごせました。お世話になった関係者の方々にこの場を借りてお礼と感謝を伝えたいと思います。

私の地学の授業でも以前から鉱物の授業で砂の観察をしています。火山灰の鉱物でもそうですが,双眼実体顕微鏡を使って観察するとただの砂がこんなにきれいな鉱物からできていることに気づいて誰しも感動します。以前は2種類程度の火山灰で比較していたのですが,砂でたくさんのサンプルを比べるほうが違いが良くわかります。今回小さなプラスチックのシャーレでこのように一辺に並べるのも博物的でいいなと,教えられました。

世界各地の砂のサンプル

白い砂(伊豆諸島新島の海岸砂)には,石英が多く含まれます。いわゆる水晶ですから小さな宝石といってもよく観察は子供でも楽しい体験になると思います。

新島の海岸砂

対照的に黒い稲村ケ崎の砂は,ほとんど磁鉄鉱と輝石(緑色)からなっています。他にもサハラ砂漠の砂や,いろいろ観察しました。なかなか手に入らないハワイ島のオリビンサンド(カンラン石を多量に含む緑色の砂)を少しですがわけてもらい良かったです。

稲村ヶ崎のほとんど磁鉄鉱と輝石からなる砂

片瀬海岸から七里ヶ浜,稲村ヶ崎,由比ヶ浜それぞれでサンプルをとり比較しました。密度のちがいが沿岸流や風の影響で組成が変わるのですが,供給源や岩石海岸の位置も関係して複雑です。稲村ヶ崎では,黒光りしたこのような砂からなる理由が,海岸侵食によるものという説明に大いに納得しました。

稲村ヶ崎の西側は海岸が道路に迫っていて補修工事が行われている。

久しぶりにおとずれた由比ヶ浜は,こんなに広い遠浅の海岸も改めて珍しいなと思いました。砂に潜っていく貝の様子なども観察したり発見も多く,コロナで海の家がないので景色が良いことに気づきました。所々江ノ電に乗りながら,歩く距離も適度で半分くらいは旅行気分でとても気持ちが良かったです。教員免許講習は2年後に廃止になるのですが,運悪く来年までに更新に当たる私は,あと3単位習得せねばならず,来年もこのような野外巡検で楽しく済まぜたいと思いました。

由比ヶ浜のながめ