宇宙とは何だろうか?
「ブラックホールと時空の方程式」という本の題名を見て(聞いて),読んでみようという人は多分そう多くないと思います。「ブラックホールとは何か?」とか「高校数学で分かるアインシュタイン」,「宇宙に果てはあるか?」といった新書サイズの啓蒙書ではなく,かといって,「一般相対論概説」のような教科書のタイトルとも違います。副題が「~15歳からの一般相対性理論~」で,これを前面に出すと胡散臭く感じるかもしれません。今まで,理解したい,勉強したいと思いながら相対論や量子力学について挫折してきた人々に朗報ともいえる画期的な本に出合いました。
その著者,小林晋平さんの講演会があったので,有料ですが参加してきました。とにかく,いろんな本で相対論をかじってきましたが,この本は中高生の数学の知識さえあれば,自分でも式を解きながら(式を解いても意味が分からないことがほとんどです)理解をして読み進められる画期的な本です。 まだ,半分までしか式を追って進んでいませんが,夏休みに一気に取り組んで,相対論を乗り越えるつもりでいます。
講演会は,大学時代からお互い同級で交流があるという慶応大学の松浦壮さんとのクロストーク形式でした。松浦さんは宇宙の時間を,小林さんは宇宙の空間について,分かるとはどういうことか,という素朴な疑問に答える意味も交えて(お二人とも武道の経験から)お話をしてくださいました。
なかでも,大学を出て,研究者になろうかお笑い芸人になるか迷ったという小林さんは,パワフルな話しぶりで群馬高専時代は毎年ベストティーチャーに選ばれていたというだけあってそのノウハウにも注目でした。物理学は,武芸や古典芸能のように何年もかかって体得するものだということに納得しました。参加者を交えてのクロストークでは,重力は幻想かもしれない(ホログラフィー理論)という話題になったので,私も「時間が幻想だという話はないのですか?」と割り込んで,専門的な展開をうかがえて有意義でした。著書にサインもしてもらい,楽しい時を過ごすことができました。