AtomCAM2(見守りカメラ)によるふたご座流星群の撮影

 近頃は,三大流星群(しぶんぎ座,ペルセウス座,ふたご座)がニュースに取り上げらえたりしますが,天文現象は天気の良しあしに左右されますし,簡単に誰でも見られるような記事(書いている人が見たこともないのに,願い事がかなうだとか希望的なニュースに仕立てる傾向があって)で,私らのような天文屋からすると,もう少し期待を裏切らない程度(都会でも寒い中30分以上我慢して空を見上げれば2,3個ぐらいは見えるかも,とか)にしてほしいと思います。実際に天文部なんかで流星観測をすると,これらの流星群の極大の時間帯でもでもせいぜい数分に1個見られる程度ですし,流星の流れる時間は1秒にも満たないものが多く,空を見上げていても方向によっては見逃すことが普通です。前置きが長くなりましたが,流星を動画で撮影することが簡単にできるようになりました。簡単の意味はお金がかからない,という意味を含みます。以前から,高感度が売りの40万円くらいのミラーレス一眼カメラでは写りましたが,そんな機材を使わず,数千円で売れらている,いわゆる防犯カメラ(見守りカメラ)を使ってです。ただし,撮れた画像をずーっと眺めて流星が出るのを待つ,のではなくパソコンソフトで検知し,流星の流れた部分だけを切り取って保存できるようにします。これが,今年の後半から天文関係者の間で密か(?)に普及し始め,そのさなかの今年のふたご座流星群だった(私的にかもしれませんが)と言えそうです。

 

2022年12月14日午後8時から翌日午前4時まで,一時間ごとにとらえた流星の動画をまとめて合成

毎年晴れていれば,何かしら見ているのですが,完全に部屋からモニターで見ながら,検知して確かめるのは今年が初めてでした。ほんとにパソコン任せです。それにしても小さな流星も見逃さず,これほどとらえらえるとは思いませんでした。また,火球(非常に明るく経路が長い流星)が3つほどありました。マンションの南側のベランダ(冒頭写真)と北側の玄関踊り場に2つのAtomCAM2でとらえた流星を,1時間ごとにまとめて,動画を比較明合成して光跡が分かるようにしています。合計で377フレーム(検知数)あり,1時間ごとに数を集計してみました。0時台が最も多く61ですが,輻射点の高度が低い21時台の方が全体の数は多かったと思われます。輻射点が天頂にあったと仮定する,流星数補正(ZHR:輻射点高度のsinで割る)も出してみました。

        20時  21時  22時  23時  0時  1時   2時  3時   計
   南側  14   36   22    23   31   23   30   17   196
   北側  16   21   14   22   30   27   29   22   181
    計  30   57   36   45   61   50   59   39   377
   ZHR  64   89   49   51   63   51   60   42

ふたご座流星群以外の散在流星や,フレームがまたがっているものを入れても,およそ350個のふたご座流星群の流星をとらえることができました。いくらカメラとはいえこんなに数えられるとは思ってもいませんでした(普段でも一晩に10~20は捉えられていましたが)。この流星検知プログラムを作られたkin-hasegawaさんは,さらにこれらの画像から位置を求めて,計測も自動化したいと考えておられるようで,私もなにか分析ができるようにしていきたいと思っています。