長瀞の紅簾石片岩

一昨年前の地質学会関東支部巡検で訪れた長瀞
薄く研磨してプレパラートにした紅簾石片岩の薄片

地学ではおなじみの,ブラタモリ夏休みSPは「長瀞」でした。タモリ氏がはじめから興奮気味で長瀞の地学的見所にくぎ付けになったのをご覧になった方も多いと思います。特に船下りの近く親鼻橋のたもとにある,紅簾石片岩の大岩は地質的に貴重な見所です。一昨年に地質学会関東支部の巡検で訪れた際に,ほんの小さなかけらを拾ってきたので,岩石薄片をつくり,偏光顕微鏡でながめて見ました。片理にそって鉱物が並んでおり,赤い色が特徴的な岩石の構造がよく分かりました。

ピンク色の鉱物が紅簾石。

地学教材に「地質図の理解について」を加えました。

産総研の高橋雅紀さん(ブラタモリ「長瀞」に解説でご出演)の地質図実習の実践例を地学教材ページにまとめました。→こちら

望遠鏡つくりと天体観測入門教室

8月17日と18日の2日,高津区文化協会(川崎市のNPO法人)の「夏休み子ども1日体験教室」の1科目として,天体望遠鏡キットの組立と月や天体の見方を学ぶ実験教室を行いました。毎年応募者が多いのは,望遠鏡をつくることが付加価値になるためだと思いますが,月のクレーターを見ることを目標に,星座のギリシア神話など,学校のカリキュラム以外の内容も盛り込んで,星や宇宙好きを広めたいと思っています。


望遠鏡は,星の手帖社の組立望遠鏡15倍というキットです。思ったより大きく見える(視野が狭い)ことと,ピント合わせが必要なこと,特に景色が逆さまに見えることが(ここがハードルが高い)難しさになりますが,今はこのようなアナログ体験がとても大切だと思います。太陽に向けないように,注意するところですが,このところ天候が不順で曇り空の景色で見え方をチェックしているところ。

 

 

外箱には,10分でできるとありますが,接眼レンズの組立など複雑な部分,仕上げでシールを貼る部分など根気よく取り組む必要もあって,つくるのに30分以上かけています。

接眼レンズ
3種類のレンズを正しく組み合わせるところが難しい。

 

 

 

 

小学校5年で習う月の見え方は,難しい項目のようです。ボールと懐中電灯で実験したりしますが,やはり実際の空で何日も観察するのが一番だと思います。昔の人にとっては当たり前のことだった。という旧暦のことは必ず話します。また,最後に星座神話でもっとも劇的なペルセウスのメドゥーサ退治の物語を映画「タイタンの戦い」の抜粋を見てもらって,興味が湧かくようにしています。

日本列島の地質についての実習用の白地図をつくりました。

日本列島の形成史を理解するために,地体構造と地質分布を白地図に記入する実習用の白地図と完成図をつくりました。地学教材のページに追加しました。→こちら

 

地質学会関東支部主催アウトリーチ巡検「浅間山の噴出物と噴火史」

8月7日から1泊2日の浅間山の巡検に参加してきました。地質学会関東支部が毎年夏に,地学教育の普及を目的に開催しているもので,一昨年は秩父,その前の北茨城にもでかけています。

浅間山は現在もときどき噴火をおこす活火山で,最近では2009年に火山灰を降らせています。また,1783年(天明3年)の噴火による鬼押し出し溶岩やふもとの鎌原村に大きな被害をもたらしていることも有名です。

火山活動は,おおよそ数万~数十万年の単位でつづき,その噴火の歴史は周囲に堆積した火山灰や溶岩,また激しい噴火に伴う火砕流堆積物によって調べられています。このような火山噴出物による地層がどのように野外で観察できるかは,やはり専門の研究者の案内と解説なしでは分かりにくいものです。巡検の内容の一部を写真で紹介します。

浅間山を遠望するときれいな円錐型の成層火山であることが分かりますが,その形は主に歴史時代の噴火で出来たものです。山体を形成してきた,大きな噴火による火山灰の堆積順に名前がつけられていて,上からAs-A,As-B,As-BPなどと言います。Asは浅間,A,Bは順序,Pというのはだいたいパミス(軽石)を意味します。はじめに訪れた地点は,浅間山火口から約30km東の群馬県高崎市上室田町の露頭(地層が見られるガケ)の約16000年前のYP火山灰(降下軽石)の写真です。


浅間山の噴火でもっとも有名なのが天明三年の噴火で,8月5日に発生した鎌原村を襲った火砕流によって村全体で477人が死亡,生存者93人という大災害と言われていましたが,現在では土石なだれによるものと解釈が代わったそうです。

鎌原観音堂と嬬恋村郷土資料館を見学しました。
当時あった50段の階段の35段目までが土石なだれに埋まり,発掘により2つの遺体が折り重なって発見されました。

 

 


この橋の下に35段(約5.5m)が埋まっています。

 

 

 

 

 


火砕流ではなく,土石なだれであった証拠の1つに発掘された遺物が焼けていないこと,さらに水にも埋もれていないことが明らかになりました。土石なだれとは,どんなものか想像しにくいのですが,空気を媒介とした岩や泥の崩壊によって起こるものだそうです。

 

 

 


2日目は,鬼押し出し溶岩を観察できる浅間園(鬼押出し園ではない)へ。

鎌原土石雪崩を発生したのは,このあたり(柳井沼)の溶岩が二次爆発を起こしたからと考えられているそうです。

 

 


浅間山東麓にある白糸の滝

当時湖だったと考えられる粘土層(不透水層)の上に堆積したAs-SP(白糸の滝降下軽石,約2万年前の小浅間溶岩ドーム起源)の透水層の間だから地下水がわき出て,横一線の滝になっています。不透水層の下はAs-BP(浅間板鼻褐色軽石層)。


最後の観察露頭は,佐久平の平原火砕流。別名小諸第一火砕流(下)と小諸第二火砕流(上)堆積物。約16000年前のYPテフラの噴火に伴う火砕流で,小諸の懐古園もこの上にあります。第2火砕流は,第1火砕流の2次堆積物(水によって流れるラハール(土石流))という解釈がされています。これらは古い時代の大規模噴火を想像させますが,天明三年の噴火でも鎌原土石なだれは草津の吾妻川にながれこみ,利根川の下流,当時の江戸川から東京湾にまで人の遺体を運んだといいます。今話題の八ッ場ダムあたりで水位が100mも上がったといいますから,とても想像しがたいですが,火山災害とはそういうものであると認識しておくのが大切だと思います。(噴火による山麓だけの防災ではなく)。

以上,実地の観察とその現象について,多くの研究者の解釈とさまざまな議論の末に明らかになった浅間火山の噴火について知識が深まり,楽しい時間を過ごすことができました。関係の方々(特に案内者の立正大学地球環境科学部助教:大石雅之さん)にお礼申し上げたいと思います。

偏西風の波動を再現する回転円筒水槽の実験を公開しました。

リニューアルした実験装置で,実験の様子を公開しました。→こちら

古い実験のページは→こちら

本格的な研究や実験データは横浜国立大学筆保研究室(下記)などをご覧ください。

http://www.fudeyasu.ynu.ac.jp/member/thesis/2014-masuda/masuda.html

 

地質・堆積構造の実験

地学では実験ができないと言いましたが,砂や泥の堆積の様子を再現する実験は実サイズで行うこともできます。学校でやった実験の写真を載せます。タービダイト,断層,リップルマークの順です。

泥に近い砂(黒)とあらい砂(白灰)を混ぜた物を水をいれた大きめのメスシリンダーに投入(何度も)すると,級化構造ができて,タービタイトが再現できていると思います。
断層
地層の模型として,小麦粉(白)と砥の粉(ブラウン)透明プラケースに交互に敷き詰め固めたようす。
断層が動いた様子
仕切り板(赤)を押しつける方向に動かすと見事に断層ができました。ポイントはかなり地層を固くしておくことです。
ペットボトル(1L)に砂と水を入れて,横にして左右に揺らしていると,やがて,漣痕(リップルマーク)ができます。砂はホームセンターで売っている子供用の遊び砂,が適しています。

フィリピン海プレートと三重会合点

今晩(7/30)NHKスペシャルで放映される,ジオ・ジャパンで紹介されるのは,産総研地質調査所の高橋雅紀さんの日本列島の第四紀地殻変動についての考え方です。何度か講演会などでなるほどと思っているのですが,いよいよ報道発表されたと伺い,ホームページで公開されているアナログ模型をつくってアニメーションにしてみました。詳しい説明は,フィリピン海プレートと太平洋プレートという2つの海洋プレートが日本列島(ユーラシアプレートおよび北米プレート)の下に沈みこんでいるという世界に例のない特殊性(房総半島沖のプレート三重会合点)によるわけですが,この説明はご本人による上記HPか今晩のNHKの番組にまかせたいと思います。


太平洋プレート断裂モデル

日本海溝移動モデル

簡単な化石の自由研究

よく知られていることですが,建築用の石材の中には化石が見られることがあり,東京の古い老舗デパートのフロアーに使われている石灰岩や大理石にはよくアンモナイトが入っています。昨日は,日本橋高島屋で開催されている藤原新也の沖ノ島の写真展にでかけましたが,1階に目立たないように案内表示を見つけました。これ以外にもそこかしこに見られます。ほかにも,三越や銀座線の地下通路などをまわれば,子どもたちの夏休みの自由研究になるなと思いました。本物の化石掘りは,なかなかさせてもらえないことが多いですから。

立体地形図をつくる

3D地形模型
3D地形模型

透明な薄いプラスチック製の弁当パックのフタのをつかって,簡単に立体地形模型をつくれます。2015年度発見工房クリエイト おもしろ科学実験教室で行った様子です。場所:はるひ野小中学校敷地内 はるひ野黒川地域交流センター 小ホール