天文の世界史
天文や宇宙については,星座や暦,物理学や科学の知識とその発展の歴史など幅広い分野を総合しなければ分かったことにはならないというか,多分,人によって星座のことは知っているけど,星の進化のことはよくわからないとか,なかなかすべての内容を頭に入れるのは不可能に近いのではないかと思います。この本はまさに,そういう天文学すべてが解説されている珍しい一冊ではないかと思います。ただの天文学の歴史となると,というか今まではそのような科学が西洋で発達するもとになったギリシャからガリレオ・ニュートンの流れですが,星を見ることや暦の問題は世界中の人々が共通する身近な問題であることに主眼をおいて,帯にもあるように「天文学は文化だ」という視点で書かれています。つまり,星座の話から天体物理学までを世界史として(そのまんまだな)書かれていて,よくこれだけの内容を一冊にしたものだと感心しながら知識を得ることができました。お勧めします。インターナショナル新書2017年12月刊。