最近の撮影機材

昨年(2024年)の夏に東京の多摩市のタウンハウスという庭のある集合住宅に引っ越して,ベランダより死角の少ない庭で撮影ができるようになりました。しばらく,従来の赤道儀(iOptronのGEM28)でBKP200などを運用していましたが,古いタカハシのEM200赤道儀がヤフオクに出ていて,10万円台(新品なら50万円超ですが,現在生産中止)でしたので,なにげなく入札したら,そのまま落札者になってしまい,入手することになりました。電源をつないでみましたがコントローラーのパイロットランプは点灯しますが,ボタンを押してもモーターは動かず,ジャンク品だと分かりました。もちろん古いタイプで,パソコンによる自動導入をするには改造が必要だと分かっていましたので,自作キットもありますが,SSOneという会社が行っている改造を頼むことにしました。EM200赤道儀は,30年前にはアマチュア天文家のあこがれというか,遠征などでも大口径のガイド撮影に威力を発揮していた定評のある機材です。堅牢にできていて,重く庭に毎回これを持ち出してセットするのはバカみたいなので,設置したままの状態にするために,三脚では場所をとるのでピラー脚を物色したところ,ヤフオクに出たのでこれまた一発落札しました。改造も含めると,全部で36万円くらいで,新品の中国(あるいは台湾)製の波動ギア赤道儀が買えてしまいますが,ピラーに載っているEM200は格好よくてとても満足しています(SSOne改造は最初動きが止まったりして,一度返品しましたがその後は順調に稼働しています。導入時のモーター回転速度は低速ですが)。

← 普段はアルミ断熱シートを2重にくるんでひもで縛っています。夏の炎天下でも中は40℃超くらいで,電子部品も壊れることはないと思います。本当はドームやスライディングルーフに格納するものでしょうが・・・・。

架台にはBKP200(口径20cm,f903mmのニュートン式反射)を載せ,ZWOのASI533MPCカラー冷却CMOSカメラとオフアキシスガイド,EAFによるオートフォーカス,撮影制御にもZWOのASIAirで系外銀河などを撮影しています。光害地ですが,ワンショットナローバンドフィルター(主にIDASのDTDフィルター)で,かなり良く撮れます。

これも,ひとえに画像処理技術の進化のたまものと言えるのですが,カブリや色むらをなくすGraXpartやデコンボリューション(BXT)による画像精細化,ノイズ軽減などで多分一昔前の天文台レベルの画像が得られるようになっています。

ケフェウス座の銀河NGC6946(花火銀河)
5分31枚(露出時間2時間35分)
2025年9月18日撮影

露出時間は3~5時間にも及びますが,放置撮影でその間ベッドで寝ていますのでなんら苦になりません。この焦点距離とセンサーサイズでも,視直径10分ぐらいの銀河なら構造まで分かるように撮れ,さらに深宇宙のようすを示す銀河群も撮れるのが自分でもうれしいです。

しし座にあるNGC3190 をはじめとする
銀河群Arp44,3分100枚(5時間)

さらに,機材というか昨年機種変更したスマホ(googlePixcel8)に,買ってから3ヶ月ほどして気がついたのですが,夜間撮影モードにして三脚に固定(スマホを三脚につけるアダプターは100均で買える)すると,自動的に星空撮影モードになってシャッターを押すと,4分間ほど撮影がつづき,星と景色をそれぞれ止めた画像が生成されるのです。通常,4分間も星を固定した状態にするには,カメラをポータブル赤道儀にのせるか,10秒程度の画像を位置合わせ合成するという手間が必要で,しかも風景も固定するとなると,えらく手間のかかる処理ですが,それをその場でやってくれるというわけです。生成した画像は,すぐにブースト(強調処理)してくれます。

googlePixcel8の星空撮影モードで撮影した冬の星座
2025年11月22日,長野県富士見町で撮影
Adobe-Photoshopで画像処理
(GradientXTerminatorで,フラット処理)

こうしてみると,天体写真といっても,一頃とは違ってPCアプリなしではなにもできない,ということがはっきりします。自分自身,画像処理をしなければならないとはじめて知ったとき,眼視でこんな色は見えないのに彩度を勝手にいじったりすることに抵抗を覚えたました。ここでも,生成という言葉をつかっていますが,ひょっとするとこれから,生成AIで弄ることが行われるかもしれません(区別がつかなくなると誰しもしそうです)。先日(上の星座写真を撮ったとき)の遠征では,星仲間といっしょだったこともあり,撮影をせず久しぶりに眼視で星雲星団観望を楽しみました。SkyWatcherのBKP130 という反射を同じくAZ-GTiという自動導入式経緯台に載せたものを試しましたが,なかなか良い確率で暗い星雲星団も導入できました。自分の目でみる星も改めて美しいと(キラキラして)感じました。眼視で見るためのアイピース(接眼レンズ)にも機材としての利用価値を保持していくのは,これまたひょっとして私たちのような天文オールドファンの役目かもしれないと感じているこのごろです。