名古屋旅行~近代化編

春休みなので,旅行。私にはほとんどなじみがない名古屋を2泊3日で巡ってきました(熱田神宮には一度行ったことがあります)。芭蕉の足跡を訪ねることは,以前からテーマにしていて名古屋は蕉風発祥の地と言われるので,そこを抑え,明治村や犬山に行ってみることにしました。また,連れ合いが8歳までいたという名古屋の住んでいたあたりを訪れたいというので,それにもお付き合いしたり,行程を考えつつ行き当たりばったりの変更もあり,以下のようになりました。
新幹線で名古屋駅→ 名鉄本線 → 有松(東海道宿場町)→ 鳴海(誓願寺)本笠寺 → 名古屋駅 地下鉄東山線 → 星ヶ丘(かみさんの故郷)→ 名古屋駅 → タクシー ホテルCI → 大須商店街(大須観音)夕食 → ホテル
2日目 電波塔(蕉風発祥の地碑)→ レンタカー → 小牧山城跡 → メナード美術館 → 明治村 → 鵜沼の宿場町 → 犬山のホテル → レンタカー返却
3日目 東之宮古墳 → 犬山城(城下町) → 名鉄犬山線 → 名古屋 → トヨタ産業技術記念館 → ノリタケの森 → 名古屋駅 新幹線で帰郷

明治村はやはり見ごたえがあり,トヨタの記念館,ノリタケをまず近代化編としてまとめてみようと思います。

帝国ホテル旧中央玄関(ピンボケになってしまった)
2階からロビー(大谷石が多用されていて驚いた)

鉄道局新橋工場内の機械類(空気圧縮機→削岩機などに使用する)

どの建物も,風格と趣に満ちていてなお且つ移築されているという労力に感動しました。全部の建物について中を見たり解説を聞いて回ったらゆうに丸1日かかると思い,適当に選んでまわりましたがそれぞれの歴史やその意味を伝えてくれることにも配慮があって面白かったです。

あいにくの雨のなか,もうちょっとすれば桜の咲きそろう頃でしたが,そうでなくても訪れてよかったと思います。野外博物館なので,橋とか鉄道までも持ってくるというのが,すごいですし,明治という日本の勢いというものを改めて意識させてくれる体験でした。

大明寺聖パウロ教会
聖パウロ教会の内部

キリスト教の禁教令が解かれて,大浦天主堂のような西洋建築の教会も作られたようですが,この外観と内部の意匠の落差に感動しました。なんというか,潜在していた隠れキリシタンの思いを表しているような。同様の建築として聖ザビエル天主堂があるのですが,この日は,イベント(コンサート)があって,見学できなかったのが残念でした。名古屋は家康が作った街(ブラタモリによる)です。家康の超保身的な性格(現在のトヨタのような大企業に通じる)が続けさせた江戸時代(太平の良い世の中でもあったのですが)が外圧によって開かれると,急激に進む近代化。そこには日本人の器用さが生かされている気がするのですが,その変わり身の早さは戦後にも通じます。トヨタ産業技術記念館は,その2つの器用さを豊田佐吉,喜一郎父子が現したことがみられる,これまた規模の大きい博物館でした。

名古屋駅から程近くにあるトヨタ産業技術記念館,明治時代ここに織物生産工場としてトヨタはスタートした
明治24年に発明された無停止杼換式自動織機
入り口に環状式というのが展示されてたが
仕組みをいまいち理解できない。
この機織りを自動化したということ。横糸を飛び杼で織るということが基本

大学時代教養科目に「技術史」というのがあったのを思い出す。機織りにはさらに糸を紡ぐという工程が重要だということが分かった。紡績業というくらいだと知る。織機と紡績が半々ぐらいで展示されてる。また織物の街八王子が故郷なのでジャガード(柄物)編み機のパターンの紙とか(これも仕組みが理解できないが)も懐かしく思い出した。

紡績機。考えてみると綿から糸をつくる
機械は発明だろう
ツアーや解説員が充実している
現在の紡績機。紡ぐ様子が分かる?
現在のジャガード機。
写真のような柄だがプリントではない
杼はなく糸は空気で飛ぶそうだ。
鍛造の実演解説と展示(赤いのは熱せられて温度が高いから)

まあ世界のトヨタであるから,そんじょそこらの博物館より人も展示にも金がかかっていると言って良い。自動車館へ行く途中には金属部品(エンジン)の金型プレスの実演というのがあって,実演していた。なんと1300℃まで鉄を加熱して実際にプレスするが,本物の1/4くらいのミニチュアのようである。

クラウン
コロナ
カローラスプリンター
ソアラ

昔のトヨタ車の数々が展示されているのが目を引く。中古車だと塗装を塗りなおさない限りこんなぴかぴかな状態にはならない(外にさらされることがなかった)ので,なんというか昔の本物を見ている感じがすごくあった。

ノリタケの森にある陶磁器焼成用トンネル窯の跡

トヨタから陶磁器で有名なノリタケの施設があるノリタケの森というところまで歩きました(15分ほど)。ショップをのぞいて,こういうのを普段使いするかどうかで,かみさんと喧嘩になりそうになり,博物館も見るつもりでしたが,3日間約6万歩の足がもう疲れたのでここで名古屋駅までバスで帰途に向かうことにしました。トヨタ記念館への行きのタクシーで分かったのですが,ノリタケというブランド名は,ここの名古屋の地名「則武」にもとづずくものだということです。Wikipediaで調べると森村グループ,TOTO,INAX,LIXILやらの統廃合,同系統企業間の複雑な関係性が見え隠れし,なんだか抗争めいたものを感じます。私的な意見ですが,トヨタも高度成長期の大衆車カローラを作っていたころはいいです(ソアラが高級車っぽいとか)が,近頃のレクサスのようなブランド車は,完全に富裕層向けの商売をやって業績を伸ばしているイメージで好きではありません。そとからレクサスのショールームの中をのぞくと,働いている人たちは完全に庶民を見下すようなオーラを出している,と感じるのは私が貧乏人だからでしょうか。ノリタケの磁器に対してもなんだか,そんなことを最後に考えてしまった今回の旅行ですが,近世編古代・中世編と続きますのでご期待ください。

天体写真

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