紫金山・アトラス彗星
一般向けにも話題となった紫金山・アトラス彗星。予報どおり大彗星になったと思いますが,10月にしては天気が安定せず(秋雨前線が1ヶ月おくれで居座り),観望や撮影する機会が限られ,久々の天体ショーとしてはやや盛り上がりに欠けた気がします。近日点通過直後には,かなり明るくなっていたようですが,チャンスは明け方のかなり低空の空で,見たり撮影できた人がとても少なかったようです。私も晴れ間が期待できる10月2日に,東の空が開けている近くの公園の展望台で待ち構えてみましたが,東の空に雲が広がってしまって,見ることが出来ませんでした。夕方の西空で見られるようになった10月13日,良い天気になり近くの多摩の横道防人見返りの峠という場所で,初めて肉眼でも彗星を見ることができて(かすかに見えたという程度で,実際には双眼鏡でながめて)感動しました。また,私たちが着いた時点で10人くらいの人たちがすでに三脚やカメラを構えていたのにも驚きました。多分天文ファンではない方たちだと思いますが,思った以上に注目されていたようです。
翌日も翌々日も晴れたので,近所の見えそうな場所から撮影しました。
首都圏の透明度がイマイチの空ですが,尾の長さは7,8°,空の暗いところなら10°以上あると思われます。まだ,彗星が太陽に近くおそらく1等級ぐらい(水星ほどの明るさ)なので,数秒の露出で写るのですが,バックが明るい薄明で星が写らないために,画像処理ソフトでコンポジットや位置合わせが上手く出来ませんでした。このあと,数日天気がわるくなり,10月20日の日曜日に長野方面で晴れの予報が出たので,遠征して撮影しました。翌日は仕事でしたので,8時過ぎには撤収して帰宅しました。
この日は,月の影響もなく,天の川もよく見えました。レンズをいろいろ持って行き,広角レンズで天の川も入れた星景写真も撮れば良かったと思いました。赤道儀を2台セットしましたが,あっという間に沈んでしまう,彗星となるといろいろ焦ってしまうことを経験しました。その後も天気が悪く,26日に予定していた同好会の遠征(八ヶ岳少年自然の家)でしたが,夕方雲が多く雲間にかろうじて撮影したのが次です。
このあとも天気がすぐれず,10月30日自宅から光害カットフィルターをつかって撮影したのが次です。だいぶ暗く小さくなって,このあと晴れたとしても,なんだか撮影しようという気が起こらなくなっている状態です。紫金山アトラス彗星は,大彗星だったとおもいますが,ちょっと姿かたちにあまり特徴がなく(イオンテイルとダストに分かれていないのとイオンテイルの劇的な変化とかがないまま)小さくなっていくので,そんな気持ちになるのだろうと思います。
さようなら,と呼びかけたいですが,なんとなく盛り上がりに欠ける彗星だったな,というのが正直な感想です。ちょっとかわいそうな気もしますね。