佐原の伊能忠敬記念館へ行きました。

昨年,バイクを新調した直後に,佐原までツーリングがてら佐原の伊能忠敬記念館で開催中の企画展「伊能忠敬が見た星々」を見てきました。数年前にNHKのコズミックフロントNEXTで,伊能忠敬の蝦夷地への測量が,本当は地球の大きさを測ることが目的で忠敬は大の天文マニアであったということに気づきました。昨年が没後200年だったこともあり,地学協会の講演なども聴いていましたが,知れば知るほど偉大な先人だと思うようになっていたので,やっと行けてよかったと思います(ふらりと訪れるにはやや遠い,「ちばらき」でしょうか)。

古い町並みが保存されていて,北総の小江戸などとも言われている街の中心に伊能忠敬旧宅(手前)と記念館(この写真奥の建物)があります。記念館の展示品は,写真撮影禁止なので紹介できませんが,珍しい江戸時代の星図や,地球の大きさを測るために最初に行った浅草の天文台から深川までの歩測の地図などがありました。50歳まで婿入りした商家を立て直してから隠居後,江戸で高橋至時に弟子入りし当時の先端であった天文学や数学を学び,ついに幕府に願い出て全国をまわり正確な日本地図を作るという偉業をなしとげたのは,偉人中の偉人としてもっと注目されてよい(紙幣の肖像になる?良い肖像画がないのか)と思います。測量の精度については,洋式の三角測量ではないと考えがちですが,ほぼ同時期のフランスのメートル法のもとになった測量に匹敵するもので,山国で海岸線の入り組んだ日本にふさわしい方法(歩測となわによる距離と磁石の方位,位置の補正には山当てを行っている)であると思います。この技術水準の高さを知った西洋列強に,日本の植民地化を躊躇させたとも言われています。

伊能忠敬旧宅の測量用具の展示
わんから,と呼ばれる方位測定器具(伊能忠敬記念館のHPより)