「望遠鏡をつくる人々」森本雅樹著と「アルマの創造者たち」山根一眞著
12月初めに国立天文台で開かれた「伝える人のための天文学ワークショップ」に参加してきました。テーマは‘最先端の観測と理論で挑む惑星系の誕生’で、南米チリで稼働しているアルマ望遠鏡による原始惑星系円盤の発見など4人の系外惑星や惑星形成を専門とする天文学研究者から講演を聞き、ディスカッションするという2日間にわたるワークショップでした。
今まで、太陽系の形成過程は京都大学の林忠四郎先生のグループが考えた京都モデルが世界標準でしたが、21世紀に入って発見が相次ぐ系外惑星とその性格が、太陽系と異なっていることが分かってきました。なかでも、アルマ電波天体望遠鏡によって、原始惑星系円盤が(見えるということがすごい)林理論によって予想されるものと異なることが明らかになり、新たなモデルが必要となっています。参考に⇒よければこちらも
このことをじかに研究者からうかがう機会が得られとても感動しました。そして、今後の研究の進展のカギがこのアルマ望遠鏡であることは今年の初めに行った講演会でも知っていたことですが、さらに謎に満ちたホットな話題なので、確認のために去年出た「アルマの創造者たち」を取り寄せて読みました。
年寄りの繰り言になりますが、日本の電波天文学を進展させた80年代の野辺山電波天文台などのことや干渉計型望遠鏡の仕組みがもっと詳しい、昔(高校生時代)に読んだ森本先生の本が無性に懐かしくなり、Amazonで結構程度の良い古本購入しました。
うかつなことに、国立天文台の特別公開でみた、6mのミリ波望遠鏡(今年鹿児島での運用を終えて国立天文台に里帰りした)が表紙を飾っていたのでした。
この望遠鏡の制作の様子を詳しく説明しているのがこの「望遠鏡をつくる人々」で、さらに干渉計型望遠鏡の仕組みを一心に読んだことも思い出すことになりました。現在古本でしか手に入りませんが、年寄りの繰り言として素晴らしい本であることを自慢させていただきたいと思います。