ビッグ・クエスチョン〈人類の難問〉に答えよう

3月14日(一年前のホーキングの命日)に出版された、ホーキング博士の遺作というべき本です。現在、世界中で翻訳され未来の人類社会へのメッセージとしても話題になっていて、英語版の紹介をNHKのクローズアップ現代でみて、数日後、本屋に行くと日本語訳が出ていました。どこからともなく、メールが来ていたので、一昨日東京駅前のkitteで行われた出版記念シンポジウム(池上彰さんや村山斉さんがでる)も聞いてきました( 次男のティモシー・ホーキングさんから挨拶というサプライズも) 。
3月14日はあのアインシュタインの誕生日(3.14は円周率)でもあり、ホーキングの誕生日は、ガリレオの死んだ日のきっかり300年後の1月8日だそうで、これだけでも運命の人といえると思います。

難病ALSを患い、音声合成装置付きの車いすで話す姿はおなじみですが、この本を読むと偉業は病気がゆえに達成されたのかもしれないと思うところがありました。むろん普通の人にかなうことではとてもないのですが、健常者には得られない一種の破天荒さを(ブラックジョークやよく賭けをすることにも表れていますが)随所で感じました。章立てが未来のための10の問い(クエスチョン)からなっているのですが、本当にさすがというか、多くの人が日頃から好奇心をいだいているすべてを網羅しているといって良いと思います。専門の宇宙論(ブラックホール理論)から派生する「神の存在」「知的生命」の有無、さらに人類の未来として「AI」「宇宙植民」「タイムトラベル」など21世紀ではなく1000年単位で考えているところが特徴かもしれません。その予測が、当たるかどうかより、博士がそこまで考えているところにむしろ願いが込められています。すなわち、博士は人類ならびに地球の未来を、実は悲観的にとらえていることの裏返しだと感じました。だからこそ我々が生き延びる道として宇宙開発や探査に再び予算を投入すべきだと訴えていることなどからもわかります。宇宙論では宇宙のはじまりを「無境界」(ノーバウンダリー)と呼ぶ理論を提唱しましたが、本の最後で博士が病気を乗り越えてきたことを「私は限界(バウンダリー)というものを信じない」という言葉にかけています。バウンダリーを境界ではなく「限界」(英語ならリミットのはず)と訳していることをさすがだと、村山斉さんがシンポジウムで指摘されていました。

2014年に封切られた博士の伝記的映画「博士と彼女のセオリー」(邦題)は未見ですが、この映画の英語の題名は“THE THEORY OF EVERYTHING”でこれは「究極の理論」すなわちいまだ到達していない物理学の一般相対論と量子論の統合などを指し示す言葉として、私の好きなNHKスペシャルの番組「神の数式」で取り上げられていました。このような宇宙の成り立ちを解明しようとする人類の営みこそが、私たちの存在する意味であると断言しているところや、最後に科学をすべての人が身につけることの重要性(未来を一握りのスーパーエリートのものにしない)を強調しているなどにも勇気づけられる、とても画期的な本だと感じました。

ビッグ・クエスチョンの動画です→こちら

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