木曽駒ヶ岳で明け方の黄道光を撮影

3000m級の山で天体写真を撮ることを目的に,この春から足腰を鍛えました。といっても年齢的に体力に自信はなく,標高2600mまでロープーウェイで行ける木曽駒ヶ岳でテント泊をしてきました。天候は,下界ではあまりよくなかったので期待していなかったのですが,予想外の空にめぐり会いカメラレンズ機材は最小限でしたが,写真撮影を行いました。

ただし,星を追尾して撮影するポータブル赤道儀は故障して使えず,露出時間の短い固定撮影になってしまいました。そのため,インターバルタイマーを連続使用して,タイムラプス動画を撮ったために,カメラのバッテリーが用意した2つとも空になってしまい,2日の予定を切り上げて下山しました。明け方に疲れて寝ている間に撮った西の空の薄明前に,太陽の光が宇宙空間の塵などを反射して光る,「黄道光」を撮影することに成功しました。

地平線を左から斜め右方向にのびる光の帯=黄道光

宮沢賢治の「ポランの広場」という戯曲につぎのような一節があるそうで, 「天の川はおれはよくは知らないが、何でもXといふ字の形になってしらじらとそらにかかっている。」これが,黄道光と天の川が交差している様子を示していると言われています。また,万葉時代の歌人柿本人麻呂の歌に「 東(ひむがし)の野に炎(かぎろひ)の立つ見えてかへり見すれば月傾(かたぶ)きぬ 」とある「炎(かぎろひ)」は,黄道光のことをさすとも言われています。いずれにしても,人工の光のない場所で古い時代には,よく知られていたのだと思いました。連続撮影した写真のタイムラプス動画をこちらにも載せておきました。 →こちら

薄明が始まっていますが,天の川と交差するように光の帯がのびています。