レムナントなど天体写真を更新しました
毎年,10月か11月には安定した晴れの日が多くなって,同時に夜の寒さが厳しくなってくる時期を迎えます。今年は,夏から猛暑つづきで,11月になっても夏日が記録されるなど変な陽気でしたが,11月11日の土曜日に本格的な寒波が来て,天気は微妙でしたが予定していた星見会(同好会の八ヶ岳遠征)に出かけました。関東は雲が厚くたれこめていたのですが,車が甲府盆地から八ヶ岳へ向かうあたりから北側に透き通った青空が広がっているのが見えて,夜も晴れそうで期待が膨らみました。
最近の撮影体制は,2台の赤道儀に1台は20㎝のニュートン反射にCMOSカメラ(ASI533),もう一台は400㎜または200㎜の屈折鏡筒(AskerFRA400とAcl200)にやはり冷却CMOS(ASI2600)という布陣ですが,これらの機材(三脚その他バッテリーや防寒着なども)をすべて車に積み込んで(レンタカーなので,車に積んだままということはなく)遠征地に向かい現地で組み立て,撮影して撤収,帰宅後片づけるというプロセスを経るたびにさすがに疲れを感じるようになっていました。今回,GPVの予報では夜半過ぎには曇ってきそうだったので,20㎝のニュートンはあきらめ,屈折1台体制で出かけました。その分疲労の度合いもさほどではなく(2台同時に撮影するのも慌ただしく疲れるもので)遠征で欲張って撮るのはほどほどにした方がよさそうだということを実感しました。また,自宅から光害除去フィルター(ナローバンドなど)でも工夫次第で楽しめる時代になっているので,今後は(さらに歳とっていきますから)そんな方向でやっていければと思い始めたところです。
予報どうり,夜半過ぎには曇ってしまいましたが,アンドロメダ星雲(M31)をHαのみを透過するナローバンドフィルターでの撮影と,おうし座にある難物と言われるSh2-240 通称レムナント(またはスパゲッティー星雲)を撮ることが出来ました。
Hαなので,真っ赤です。上の画像を,昨年撮った画像と位置合わせしてPixInsightのPixelMathというプロセスで合成したのが次の画像です。
銀河のなかの星形成領域といわれる赤い部分(銀河系では散光星雲)を出すことが出来ました。やや色合いが変わって,微細な構造が失われたような気もしますがまずまずではないかと思います。
こちらはおうし座のSh2-240通称レムナントと呼ばれる超新星残骸です。レムナントの意味は「残りカス」で天文学では超新星残骸をsupernova remnant,と言うそうで意味からいうと有名なかに星雲(M1)や網状星雲なども同じレムナントということになります。別名スパゲッティー星雲ともいうようで,一般の人にはその方が通りがいいかもしれません。とにかく淡い対象です。ネットで検索すると3時間ぐらい露出して撮る方が多いようで,今回2時間ちょっとでも形が分かるように写せたのはHαとOⅢの波長を選択的に透過するIDASのNB-1フィルターが効いたのだと思います。
今回1晩に2対象の遠征の成果でしたが,なぜか満足感がありました。自分でいうのもなんですが,天体写真のページは結構充実してきているので,これからは種類を増やさなくても,また鑑賞のみでなく意義のある観測写真や一期一会の星景写真なども撮っていけるといいなと考えています。