2009年中国旅行(日食と恐竜-カンブリア紀化石)

2009年の7月,日本国内で皆既日食がおこりました。ようやく日食に遭遇するチャンスでしたが,皆既(真っ暗に)になるのは,国内と言っても南西諸島の一部と屋久島,小笠原近海など。さまざまなツアーが組まれましたがいつの間にかどれもキャンセル待ち状態になっていました。そんなおり,大阪港から上海に行く中国のフェリー(鑑真号)が,日食当日航路を少し変更して皆既帯に入って観測するという耳よりな情報を得て,早速申し込みました。上海で下りてすぐ帰るのもと,この機会に中国の恐竜博物館やカンブリア化石(澄江動物群化石)を訪ねてきました。残念ながら,皆既日食は雨のなかで見られませんでした。

新鑑真号というフェリーは大阪,神戸ー上海を週に1往復しています。料金は片道2万円往復3万円と航空機よりはかなり安いといえます。もちろん,大阪を昼に出航して上海に到着するのは翌々日の朝と,ほぼ2日間の海の旅を覚悟しなければなりません。

これで,日食まで拝めたら周囲から羨望の目で見られるだろうな(多くの日食ツアーが,いろいろな付加価値的料金であることにくらべて)と思っていましたが,あいにくの天候で5分間の暗がりを体験しただけだったわけですが。この日食を日本で上手く観測できたのは東海大学の船で小笠原近海にでた観測グループくらいだったと思います。

船は中国にしては清潔で食事も中華で美味しく,乗り心地よく退屈な以外(大勢でカラオケや麻雀ができればそれも)不自由はしませんでした。時間がたっぷりあるなら,お薦めの海外旅行アイテムかもしれません。

中国の恐竜化石は世界的にも知られています。また,古生物学でカンブリア爆発とよばれる古生代のはじめに出現したとても奇妙な動物たちの化石はバージェス動物群化石ともよばれ,当初カナダロッキー山脈から発見されましたが,同じものが80年代に中国の雲南省澄江(チェンジャン)からも見つかりました。地学の人間としては,できればこれらを見てみたいと思いました。しかし,都合の良いツアーなどはありません。そこでインターネットを検索して,中国で日本人に対応している個人的なエージェントを見つけメールで宿と車,運転ガイドを手配してもらいました。団体ツアーよりはやはり割高でした。

まず,雲南省禄豊に2008年にオープンしたばかりの中国版ジュラシックパーク(世界恐竜谷)に行きました。ガイドは日本語も達者でよく気を遣ってくれて安心しました。

化石を探す,掘る,という体験は何度かやったことがありますが,だいたい上手くいかない(一緒にやる人に先を越され,たいてい負けます)方です。しかし,こんなにたくさん埋まっているところならだれでも見つけられるような場所が,世界にはあることが実感できました。

ほとんど変形もしていない完全な全身骨格など世界的にもめずらしいと思いました。また,発掘露頭そのものを間近に見られるのも貴重な経験だったと思います。日本では,ほんのかけらのような恐竜化石でしかないことと比べれば,ここではレプリカの必要が無いですし本当にすばらしいと思います。現地ガイドというか,この辺は中国のいかがわしいさを感じましたがよく分からないおじさんが現れて,日本の福井にも行って監督したとかいいつつ説明をしてくれました。

発掘の様子がそのまま見られます。

次は,チェンジャンへ。昆明から,そんな場所に行く旅行者はほとんどいないそうで,ガイドも初めてという帽天山という場所を探しながらの旅で,車中から中国の地方の生活ぶりがよく分かりました。

発掘の露頭の説明板と博物館があって見学しましたが,他に見学者は誰もいませんでした。



とにかく,化石の写真を撮りまくりました。
しかし,良い状態のものは別に保存されているように思われました。

日本に帰ってから,澄江動物化石群の図版本を買って,比較してみましたが,やはり完形の良いものはなかったようです。

中国の街の食堂はこんな感じですが,中華料理は世界中どこでも食べやすい料理の1つかも知れません。

今回,昆明を案内してもらったガイドさん。

お世話になりましたが,やはり中国人的というか。街で化石をコレクションしている人を探し,方外な値段で売りつけられましたが断りました。

翌日は,石林(チーリン)を見学。世界遺産の石灰岩カレンフェルト地形です。なかなか広く,見応えがありました。

さまざまな石の造形を見られるので飽きないというか。

雲南省は,イメージとしてはその名のごとく湿潤な高原地帯で,特にきのこが採れることで有名です。

きのこ鍋をごちそうになりました。この,つけ汁は,ゴマやピーナツのペーストに唐辛子の入っている,担々麺と同じものがベースでとても美味しかったです。白いのは中華まんの生地のパンでこれも。

さらに、世界遺産の楽山大仏を見学しました。

車で移動が長かったですが,四川省成都はなかなか趣がありました。

有名な,陳麻婆豆腐店で本場麻婆豆腐を食しました。

ホテルの近くにイトーヨーカ堂があり,お土産(お茶や服など)を物色しました。

杜甫草堂,武侯祠(諸葛孔明の墓など)をまわりました。

最後に,自貢恐竜博物館を見学し,夜は京劇(四川省は川劇というもの)を鑑賞したりして楽しみました。

われながら,なかなか充実した8泊9日の中国旅行でした。

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