地球外生命体

地球外生命という言葉は,一般の人から見れば「宇宙人」ととらえられかねません。宇宙人がどんな姿なのか、たいていの人は我々とは違っていても、手足や頭や目がある形(SF映画のような)を想像してしまいます。果たして、そうでしょうか。また、宇宙人を研究している科学者、なんて信用できない(似非科学)。という印象も誤解なのですが、IPMUの講演会で聞いた井田先生は、この本で、そういった誤解を解きたいと書いています。あえて、タイトルを系外惑星ではなく「地球外生命」にして、そういう誤解をもちそうな人をターゲットにしているのでしょうか。

生命とは何かという科学の未解決問題への挑戦が、昨年のNASAによる、「エンケラドスの噴水に水素が含まれていた」という重大発表になったそうです。系外惑星研究は、あらためて生物とはいかなるものか,という哲学的な命題を問うような時代に入ったといえるでしょう。その意味で、この本は現在の宇宙に関する考え方の転換を提示しているように思います。宇宙における生命探しが、この20年間で本格的に科学的対象になったその経緯がまず簡単にまとめられています。

さらに、去年のトラピスト1惑星系や一昨年のケンタウルス座プロキシマbのような地球にそっくりと言われる系外惑星は、第2の地球のように喧伝されてしまうのですが,その中心星は太陽の10分の1ほどの大きさの赤色矮星。軌道は潮汐力によって固定され(潮汐ロック)、つねに中心星を向いている側には水がある。という理由で近距離軌道でのハビタブルゾーンが注目されますが、コロナ質量放出やら放射線にさらされる過酷な環境ではないのか。そして、このような赤色矮星が銀河系の7割近くを占めているという事実も。科学者たちも気がついてみれば,太陽系のほうが小数派だった。なので、やはり異形の惑星で地球型生命を想定しても意味がない。地球でも太陽光の届かない深海に熱水で生きる生命がいることを考えると,太陽系のエウロパやエンケラドスさらにはタイタンや冥王星など、まず足元の太陽系で地球外生命(極限環境生物)探査が現実的である。といった説明が分かりやすく書かれていてお勧めします。

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