気象分野で,上空で空気中の水蒸気が凝結したもの(水滴)が雲であることを説明します。このとき実際に断熱膨張によって雲をペットボトル内につくる実験があります。教材会社からもシュポシュポ君などの名称で用意されています。演示実験のばあいには,1Lのペットボトルをつかい,中にエチルアルコールを数滴入れて空気をかなり圧縮(簡易ポンプをつかう)してから栓をぬくと見栄えがします。また,教科書にあるような,注射筒を丸底フラスコにつないで,圧縮-膨張をする場合には,フラスコ内に線香の煙を入れたときと入れないときの違いがはっきりわかります。線香を入れると明らかに雲が見えるようになるので,この実験は凝結核の有無による違いを説明するときに示すのが良いと思います。残念ながら,これらの時にどの程度,温度が変化するかを示したいところですが,センサー(温度計)が変化に追いつかないと思っています。雲ができることを断熱変化で示せるということで十分ではないかと思います。

用意するもの:簡易真空ポンプ(またはフィズキーパー),注射筒,丸底フラスコ(500mL)およびペットボトル(1L),ゴム栓,ポンプ(注射筒)とゴム栓をつなぐガラス管かビニル管

ペットボトルに,雲をつくる実験 → 中にエチルアルコールを数滴入れてあります。

凝結核(線香の煙)の有無によるフラスコと注射筒をつないだ圧縮・膨張の場合

線香の煙が入っているとき

降水過程では,氷と過冷却水滴で飽和蒸気圧が異なるために氷晶が発達するという説明をします。氷晶をつくる実験はドライアイスなどで行うこともできます。発泡スチロールのクーラーボックスに砕いたドライアイスと,少しだけお湯を入れたペットボトルを入れて,中に釣り糸(テグス)をつるして,30分くらいおくと,糸の周りに氷晶ができます。

ドライアイスでつくった氷晶

過冷却水を示すことは,比較的簡単にできます。中が見えやすい500mLのペットボトルに水道水を入れて,冷蔵庫の冷凍室で1時間くらい凍る寸前まで冷やしてから,ペットボトルをだして衝撃を与えると,氷ができる様子を見ることができます。冷蔵庫の性能や季節によって条件が違いますので,試行錯誤が必要ですが。あんまり写りが良くありませんでしたが動画のようすをご覧ください。

NHKの「アインシュタインの眼」という番組で蔵王の樹氷のでき方の映像動画には、過冷却水をサーモグラフで撮った映像があり目を見張りました。