気象分野で,大気の安定性を断熱変化や気温減率といった概念を一つ一つグラフなどを使って説明しますが,なかなか直感的に理解するのは難しいかと思っています。簡単に言えば,暖かい空気が上昇する(上昇気流が起きる)ことなので,以前こんな実験をして動画にしました。確か,木村龍治先生(放送大学教授)の「流れの科学」東海大学出版会に出ていたと思います。

ビーカーに常温の水をいれ,底の部分には冷蔵庫でよく冷やした牛乳を細長い管(百円均一の化粧用具にある)をつけた注射筒から,ゆっくりと注入して成層状態にし,下から弱火(バーナー)で熱しています。断熱変化は起こっていませんが,あたかも白い雲が沸き立つような対流運動を視覚的に示せたと思います。

教室で実際に行うものでは,安い紅茶(これも百均で手に入る)のティーバッグを使うものもあります。ティーバッグ(tea-bag)の糸の部分の下だけはさみで切り取って,茶葉を取り出し,空の紙袋(筒状になっている)を灰皿などに立てて,上部に火をつけると上から下まで紙が燃え尽きると同時に勢いよく燃えカスが天井付近まで舞い上がる,というものです。生徒が家でまねしないように注意しますが,最近は何かあると責任をとられかねないので,行っていません。ティーバッグの紙は,高級な製品ではうまく行かず,安いものが適しているようです。