日本全国の過去の主な気象観測データは,気象庁のホームページ(HP)からダウンロードすることができます。表計算ソフト「エクセル」の基本知識があれば過去の変動をグラフにして温暖化やヒートアイランドなどを明らかにすることができます。
まず,気象庁のHPの上部に並んでいるタブの「各種データ・資料」を選び,一番左の気象観測データの欄の,「過去の地点気象データ・ダウンロード」をクリックしてページを開きます。
地点を選ぶで都道府県を選び,上の画面から地点を選びます。このとき青い●の地点はアメダスの降水量のみで,県庁所在地や◎の地点は気象台や測候所が古くからある地点です。変動を調べるには戦前からの観測があるような地点を選ぶようにします(アメダスが整備された1974年からの地点も多い)。何のデータが含まれているかは,右側の選択地点に表示されています。地球温暖化を調べるなら,都市化の影響が少ない地点を選ぶようにします。このばあい,千葉県の銚子,東京都の大島,静岡県の石廊崎,埼玉県の熊谷(ここは内陸で都市化の影響があると考え)を選びました。
次に,項目を選ぶ,をクリックしてデータの種類を選びます。夏の暑さや冬の寒さを調べるとすれば,「月別値」のボタンをクリックし,下の項目から適当なものを選びます。この場合,8月の日最高気温の月平均を調べることにします。
さらに,期間を選ぶをクリックし,上のような画面で「特定の期間を複数年分,表示する」を選んで,調べたい月を(8月なら8月~8月のように)選んで,調べる期間(年)を選択して決めます。古い記録は明治時代からありますが,統計がない年は空白で出力されるので試しに入れてみても大丈夫です。これでCSVファイルをダウンロードをクリックすると,データがダウンロードできます。CSVファイルは,普通エクセルでひらくことができ,そのまま表計算も可能です。エクセルの使い方は,他を参考にしてほしいと思いますが,分からなければ,「エクセル 〇〇を××する」で検索すれば,やり方がすぐ出てくる時代ですので,あきらめずに試してみましょう。上の例で,8月の日最高気温の変動を折れ線グラフで表わしたものです。縦軸や横軸の表示や任意の値に変える方法はエクセルのスキルですが。
温暖化,と言われるものが多くは都市気候(エアコンの廃熱や緑地の減少,コンクリートやアスファルトによる蓄熱)によるものも大きいのでそれほど変わっていないかと予想したのですが,回帰直線(グラフの線を右クリックすると表示できます)でみるとどの地点も80年で1.5~2.0°C上昇しているようです。次のグラフは以前調べた,東京の気温の都市化による変化(ヒートアイランド現象)を示すものです。銚子の変化と比べると分かると思います。
このほかにも,月平均気温が35°Cを超える(猛暑日)の日数などもすぐに統計されて出力できるので,いろいろ調べてみると気候変動について様々に考察ができるのではないでしょうか。エクセルで,気象統計をするときに役に立つ”offset”などの関数も使えば大抵のことはできると思います。