天体写真を初めてしばらくすると,誰もがケフェウス座からカシオペア座の星雲群はどれも淡い,ということを知るのではないかと思います。そんな中で,人気の対象がこのハート&ソウルと呼ばれる領域でしょう。2~3時間の露出でようやく浮かび上がる感じです。2023年の秋,初めの新月期に撮影したもので露出時間100分ですが,やはりまだ足りない感じです。
APSCサイズのセンサーでIC1848ソウル星雲(胎児星雲とも)も入れた構図です。カシオペア周辺は赤い星雲がたくさんあって,まだ撮ったことのない(肉眼では見ることもできない)ものが多くあるのですが,撮影してみると非常に淡いものが多く,露出時間が足りないことが分かってきました。試し撮りしても,星雲の姿が現われないので構図を決めるのは,もっぱら自動導入で中心の赤経赤緯を入力して決めています。星図ソフトで構図を決め,中心位置の座標をノートに書き留めて導入ソフトに入力しています。
実ははじめて冷却CMOSを使ってBKP130で撮ったのがこのハート星雲でした。全体をとるのが普通ですが,中心部の星団(メロッテ15)と暗黒星雲のコントラストが出せたと思っています。周辺部を見ると,星が中心から放射状に少し延びて写っていることが分かります。接眼部とカメラセンサーの間隔(バックフォーカス)を短くしたらドローチューブを繰り出してケられをなくすことができたのですが,収差が出てしまいました。カメラに付属している延長筒をつけて適正なバックフォーカスをとると,ドローチューブが鏡筒内に大きく出た状態で画像がケられます。仕方なくこの後,ドローチューブを1㎝あまり切断する改造を行いました。